もうすぐ『魔性眼鏡』発売日。
何か私にできることはないかな?
……。
……そうだ、インタビューなんてどうだろう。
質問くらいだったら私にもできそうだし、
おとぎの世界の皆さんのことを
もっとよく知ってもらえる気がする。
私はシードルさんのもとへ向かった。
【主人公】
「『魔性眼鏡』発売を控えて、シードルさんのことをもっ
とよく知ってもらおうということで、これからいくつか
質も」
【シードル】
「自己紹介ならもう済んでいる。何度も同じことを言わ
せるな」
【主人公】
「すみません、でも今回はまた違う質問を……用意して
きたので……」
【シードル】
「……チッ。さっさとしろ」
【主人公】
「は、はい! ええと、何か……趣味は、ありますか?」
【シードル】
「死体収集だ。次」
【主人公】
「特技を教えてください」
【シードル】
「死体の飾りつけだ。もっとも、飾るのはうすのろたちの仕事で、私は指示をするだけだが」
【主人公】
「ご自分で飾りつけはされないんですか」
【シードル】
「なぜ私が汗水たらして肉体労働をせねばならない? 下々の者の仕事だろう」
【主人公】
「下々……」
【シードル】
「なんだ。下々の仕事に興味があるなら、特別にお前を使ってやってもいいが」
【主人公】
「い、いえ! 興味は、ありません」
【主人公】
「つ、次の質問にいきます。つい口にしてしまう言葉は何かありますか?」
【シードル】
「『黙れ』『失せろ』『さっさとしろ』……このあたりか」
【主人公】
「全部命令形ですね……」
【シードル】
「へりくだるべき人間がいないのだから当たり前だろう。次」
【主人公】
「好きな言葉を教えてください」
【シードル】
「死だ」
【主人公】
「即答……」
【シードル】
「何か言ったか?」
【主人公】
「いえ! ただの独り言です、すみません」
【シードル】
「お前の下らん一言で私の貴重な時間を無駄にするな。次」
【主人公】
「あ、その、恋愛と……せ、性交渉のご経験は……」
【シードル】
「そんなことを馬鹿正直に答えて、私に何の益がある?
次」
【主人公】
「好みの女性のタイプを教えていただければと……」
【シードル】
「死体。次」
【主人公】
「ちょっと聞きにくいんですが、私の第一印象をうかが
いたいなと……」
【シードル】
「特にない。死体となる人間が見つかったというだけの
話だ」
【主人公】
「あ、はい……。じゃあ、次の質問にいきます」
【シードル】
「まだあるのか。……うんざりだ」
【主人公】
「すみません、次で終わりなので」
【主人公】
「他の国の方々の印象について聞かせてください。まず
は、ピーチさんからお願いします」
【シードル】
「軽薄で好色な……ようするに、語るに値しない男だ」
【主人公】
「では、童帝くんについてはどうでしょうか」
【シードル】
「有象無象どものことなど、興味はない。……これで終
わりだな?」
【主人公】
「あ、はい。おしまいです。ありがとうございました」
【シードル】
「フン」
ふぅ……なんとか無事終わった。
気を取り直して、次のインタビューも頑張ろう。
おわり