もうすぐ『魔性眼鏡』発売日。
何か私にできることはないかな?
……。
……そうだ、インタビューなんてどうだろう。
質問くらいだったら私にもできそうだし、
おとぎの世界の皆さんのことを
もっとよく知ってもらえる気がする。
私は童帝くんのもとへ向かった。
【主人公】
「『魔性眼鏡』発売を控えて、童帝くんのことをもっと
よく知ってもらおうってことで、これからいくつか質問
するね」
【童帝】
「どうぞ」
【主人公】
「名前とかはもう皆知ってるから、何か趣味があれば教
えてほしいんだけど……」
【童帝】
「趣味はプラネタリウムを見ることです」
【主人公】
「そうなんだ。特技はある?」
【童帝】
「……昼寝、ですかね」
【主人公】
「昼寝……それなら私も得意かな」
【童帝】
「俺の方が得意です。すぐ眠れます」
【主人公】
「そ、そっか。じゃあ童帝くんの方が得意ということで……次ね」
【主人公】
「口癖って何かある?」
【童帝】
「口癖……」
【主人公】
「そう。つい言っちゃう言葉とか」
【童帝】
「……」
【童帝】
「…………」
【主人公】
「……童帝くん?」
【童帝】
「………………」
【主人公】
「あの、思いつかなかったらパスしていいよ?」
【童帝】
「いえ、考えます。あなたはちょっと黙っててください」
【主人公】
「あ、うん。ごめんね」
【童帝】
「……」
【童帝】
「……『よろしくお願いします』とか、よく言うかもしれません。これでいいですか」
【主人公】
「う、うん。ありがとう、なんだかすごく真剣に考えてくれたみたいで」
【童帝】
「いえ。次の質問、どうぞ」
【主人公】
「好きな言葉とかある?」
【童帝】
「好きな言葉……。聞くと元気がでる言葉でもいいですか?」
【主人公】
「うん」
【童帝】
「それだったら、『おやつ』です」
【主人公】
「おやつ……ふふっ、ほんとに子供みたいだね」
【童帝】
「『みたい』じゃなくて、子供ですから」
【主人公】
「あ、そ、そうだったね。ごめん」
【主人公】
「じゃあ、次の質問……なんだけど、これは……やめと
いた方がいいかな」
【童帝】
「何をブツブツ言ってるんですか。早く次の質問してく
ださい」
【主人公】
「う、うん。その……恋愛経験と、せ、性交渉……つま
りその、せ、っくす……の経験についてなんだけど……」
【童帝】
「恋愛とセックスの経験? ないに決まってるでしょう。
俺の国ではすべて禁止されている行為です」
【主人公】
「そ、そうだよね。じゃあ、次も答えにくいかなとは思
うんだけど、好きな女の子のタイプは……」
【童帝】
「もしかして、そんなくだらない質問ばっかりなんです
か」
【主人公】
「い、いや、そんなことないよ! 次は、じゃあ、私の
第一印象を教えてもらえたらな~なんて、あはは」
【童帝】
「子供の国を乱す、汚れた大人……です」
【主人公】
「うっ……。じゃあ、他の国の人たちの印象についても
聞きたいんだけど、ピーチさんはどう?」
【童帝】
「節操のない色情狂です。口に出すのも汚らわしい」
【主人公】
「シードルさんについてはどうかな」
【童帝】
「あの人の国に行ったら、生きては戻れないと聞いてい
ます。危険人物です」
【主人公】
「これで質問はおしまい。協力してくれてありがとう」
【童帝】
「どういたしまして。じゃあ、俺はこれで」
ふぅ……なんとか無事終わった。
気を取り直して、次のインタビューも頑張ろう。
おわり