• 【主人公】「きゃ!」
  • 【????】「こんな街中を、全速力で走ったら危ないですよ」
  • 【主人公】(――この声は)

  • 抱き止めてくれていた男性の顔を見上げる。

  • 【主人公】「もしかして、蒲生先生ですか?」
  • 【蒲生 龍彦】「転んで怪我でもしたら大変です。ぶつかったのが私でよかった」

  • 蒲生弁護士は優しく笑ってくれた。

  • 【主人公】「え、ええ……」

  • 頭を下げたまま、どんどん胸が苦しくなってくる。
    厚い胸板の感触。
    抱き止めてくれた腕の力強さ。
    それらが、身体中に染み込んでしまった気がした。

  • 【主人公】(胸が苦しいのは、駅からずっと、走り通しだったせいかな……)